di先生と男が苦手な食堂の女の話⑤⑥

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妄想、捏造、想像、なんでも許せる人向けです。

 

[di先生と男が苦手な食堂の女の話⑤]

 

「di先生に会いたい……。」

 

 

ああ、なんて穏やかな日々だったのだろう。

di先生と食堂でお話するのは本当に楽しかったなぁ……。

 

 

食堂で働きだして、慣れないうちは必死で忙殺される日々だった。

役に立てなかったら出ていかなくては…

そんな風に思うこともあった。

そんな日々の中で、diに出会った。

 

忙しいはずなのに、食堂で会うときはいつもニコニコしていて、楽しそうだった。

そんな穏やかなdiと話すうちに、過去の自分や必死だった日々のことを少しだけ忘れることができた。

 

今度はいつ、先生とお話できるのかな……?

 

 

夢が食.堂.の.おばちゃんに買い物を頼まれてdiと一緒に町へ出かけて、その帰りに倒れてから一週間程が経った。

やっとフラッシュバックが少なくなり、自分が今どんな状態なのか、何者なのか、冷静になってきた。

忘れたいのに、何度も何度も襲い来る…。温度も触覚も、空気も匂いも。

現実から急に何もかもがあの日に戻る。

夢は、何度も何度もうなされ、助けを求めて部屋中を動き回ったり暴れることもあったが、そのたびにsnが落ち着かせていた。

その頻度も日に日に減ってきたある日、夢はsnに話しかけたのだった。

「sn先生、私di先生に会いたいです。」

「え?まだ完全ではないし、男性に会って大丈夫かしら…?」

「そこはちょっと不安なのです。でも…。なんだか、話がしたくて。」

「自分のことを話すの?」

「それは…迷っています…。」

「それじゃあ、di先生も都合があるだろうから、ちょっと聞いてくるわね。」

 

そう言ってsnは部屋から出ていった。

 

 

 

数分して

「夢さん?入ってもいいかしら?」

と障子の外から声がしたため「はい」とこたえるとそこにはツヤツヤの長い茶色の髪をした背の高い女性がいた。

きれいな方…。誰かしら…。?

 

「突然ごめんなさいね〜。私はhnskの姉のhnkって言うの。」

「di先生のお姉様??!は、初めまして。よろしくお願いします。」

「体調が良くないみたいね。そんなときに来ちゃって本当にごめんなさいね!あのね、hnskは、ちょっと忙しくって。代わりに私がお話を聞きに来たの!あ、でも、無理しなくてもいいのよ。hnskに直接言いたいなら私、もう帰るから。」

「・・・・そうやって私を気にかけてくださるところ、やっぱり似ていますね。di先生と。優しいですね。」

「そうかしら??」

「di先生に伝言お願いしてもよろしいでしょうか?」

「ええ、もちろん!」

「早く元気になって、またdi先生と食堂でお話がしたいです。あと、文もありがとうございました。お返事ができなくてすみません。と、お伝え下さい。」

「わかったわ!じゃ。私はこれで〜またね!」

そう言ってhnkは出ていった。

 

 

 

 

それからまた数日が経ち、フラッシュバックも落ち着いた頃、夢は部屋から出て学.園内の庭を散歩するようになった。

来週には食堂へ復帰予定だ。

 

久しぶりに庭に出ると後方から「夢さーん!!」と呼び止められた。

振り返るとdiがこちらへ走ってくる。

「di先生、お久しぶりです。こんにちは。」

「夢さん、大丈夫ですか?ちょっとやつれてしまいましたね。」

「はい。実はなかなか食事が取れなくて。でも、最近はずいぶん気分が良いんです。来週には食堂へ復帰予定ですので、またよろしくお願いします。あ、あと、私倒れてしまったとき、色々ありがとうございました。」

「とんでもない!よかった!夢さんが食堂に居ないとなんだか……その…さ、寂しいですよ。」diは両眉をハの字にして少しうつむいてそう言った。

夢は久しぶりに見たdiが変わらずに笑っていて、自分のことを心配してくれていたことがたまらなく嬉しかった。

「あの、もし、夢さんの体調がよろしければ、少し座って話しませんか?」

diにそう言われ、夢は嬉しそうに笑った。

「はい。私もお話したいです。」

「いつも話していた食堂はどうですか?」

「はい。私もそうしたいなと思っていました。それに、食.堂.の.おばちゃんにもご挨拶をしようと思っていましたし、食堂へいきましょうか。」

 

 

お昼の時間からズレた食堂につくと、食.堂.の.おばちゃんが嬉しそうに駆け寄ってきた。

「夢ちゃん!大丈夫なの?心配したんだから!ちょっと瘦せたんじゃないの?来週復帰するって話だって無理しなくていいのよ!」

「はい。ありがとうございます。でもお庭も散歩をして、調子も出てきたので大丈夫です!またよろしくお願いします。」

「こちらこそよろしくね!やっぱり夢ちゃんがいると食堂も明るいのよ。待っているわね。じゃ今は、di先生とゆっくりしてってね!」

食.堂.のおばちゃんはお茶を出してくれた。

「あの、最初に夢さんにお伝えしたいことがあります。数日前、お部屋にhnkという私の姉が訪ねてきたと思うのですが…あれは、私なんです。」

「えええ?え!あの方は女性でしたよ!??な、なぜ、女装を??あ!!女装したほうがいいとか、そーゆー風な事をsn先生に言われて??」

「いいえ。違います。あの時は夢さんの体調が悪かったので、男の私よりも女装の私の方が夢さんに気を遣わせずに済むかなと思ったもので…。色々お話もしやすいかな、と。実際は微妙でしたね…。でもあの時は少しでも話がしたくて。夢さんの顔も見たかったし。。。夢さんの方から話がしたいと言ってくれたみたいで嬉しかったですよ。あっ!ちなみに、忍者は変装をして他の者になりすますこともあるんです!潜入先の忍者とか、時には恋人や夫婦!商人なんかにもなりますよ!」

「すごいですね!!忍者ってそんなことまで!!それにしても、あの時のhnkさんはdi先生の配慮だったのですね!いつもお気遣いありがとうございます。あの時は、女の人の姿で良かったかもしれません。あと、文も。嬉しかったです。」

「それは良かった。あ、文のことはどうか気にしないでくださいね!大した内容でもありませんし…。」

 

悪夢につきまとわれて辛い時、夢はdiからの文を握りしめて耐えることができた。

文には『夢さんへ。今はゆっくり休んでください。また食堂でお話しましょう。dihnsk』とキレイな優しい文字で書いてあった。

 

「私のこと心配してくださっていることがとても強く伝わりましたよ。ありがとうございました。それにしても、hnkさん、綺麗でしたね~~髪も艶々でお化粧も素敵で・・・。」

「あはははは。普段の任務の時は自分でやったりもするんですが、今回はく.の.た.ま.達が協力してくれて、髪も艶々で、化粧もいつもより綺麗に仕上がりました。笑」

「やっぱり年頃の女の子たちはすごいですね!!」

 

 

「ところで、さっきから何をしているんですか?それは…」

「手裏剣です。ちょっと先程の授業で使ったもので…。きれいにしてから倉庫にしまわないと用具委員会に怒られてしまうので。夢さんとお話したいのですが、片手間ですみません〜。さっさと終わらせようと思ったのですが終わらなくて〜〜〜」

「いいえ!大丈夫です!………コレだけ形が違いますね。」

「それは、実は私の私物なんです。」

「へ〜〜。」

夢は初めて見る手裏剣に興味津々…。

そんな夢を横目にdiはニコニコと手入れをしている。

 

何週間かぶりに隣りにいる夢のかすかなぬくもりを嬉しく感じる……。

 

 

夢はdiの私物というちょっと変わった形の手裏剣がずっと気になっている。

diが手入れをしているスキに夢は筆を執りその私物という手裏剣に小さく平仮名で「どい」と書いた。

 

「コラコラぁ!!忍具に名前なんて書いちゃダメですよ〜〜!」

「ええ?だめなのですか?だってなくしちゃいますよ?こんな変わった形の手裏剣なくしたら大変です!」

「忍者は痕跡を残してはいけないんですよ〜。あはははは〜やっぱり夢さんといると楽しい。」

言ったあとに、あーいや!変な意味ではなく……と頭を掻きながらうつむく…。

 

diは私物の手裏剣を名前が書かれたままで大事にしまった。

 

 

 

その後食堂での勤務に復帰し、今までの様にdiとの協定の日々に戻った。

 

夢は練り物類を、diは豆類をお互いの近況を話しつつ進む食事は穏やかで、楽しい日々が戻ってきた。

 

 

続きます。

 

 

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