di先生と男が苦手な食堂の女の話⑪⑫⑬終

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#RKRNプラス di夢

妄想、捏造、想像、時代考証なし、なんでも許せる人向けです。

 

 

[di先生と男が苦手な食堂の女の話⑪]

 

夢はdiに包まれながら、さっき落ち着いたはずなのにまた小さく震えて泣いた。

怖かった気持ちが蘇る。自分を組み敷いて迫りくる男も、暴力を振るう忍者たちも、このまま一人で朽ちていくのかと思う気持ちも……

自然とdiの背中に回した両腕に力が入る。

「怖かったですね…。もう、大丈夫ですから。」

diの右手は夢の後頭部の髪を優しくなで、左手は背中を擦ってくれる。

それが心地よくて少しずつ少しずつ涙は止まり、緊張がほぐれていく。

 

 

 

しばらくすると囲炉裏で温めていたお湯が沸く…。

それに気づいて、夢はdiから離れようと身じろぎをするが、diの腕は反対に抱きしめる腕に力をいれてくる。

「あの・・di先生?お湯が沸いたので…」

動けないので、diの肩に頭を預けたまま夢が伝えると、

「夢さん。名前で呼んでくれませんか…?あの城で呼んでくれたように。その・・・・嫌でなければ。」

夢は城の中で呼んだことを思い出し「は、hnskさん…。」とdiの名前を口にする。

するとdiは嬉しそうに優しい笑みを浮かべながら夢の両頬を大きな掌で包んで、額と額をくっつけた。

「ありがとうございます。あの時、嬉しくて、つい……」

 

diの優しい顔が目の前にある……

夢は両手をdiの両肩に乗せて目の前にある大きな目を見つめる

視線をそらせない……

囲炉裏の炎で照らし出される二人の表情…

パチパチと鳴る薪の音、静かに燃える炎の音・・・やたらと大きな音に聞こえる……

お互いに見つめあったまま「夢さん…。」とdiは優しく名前を呼ぶと

「hnskさん…」と夢もつられて呼ぶとdiは夢に口づけをした。

優しく触れだけ、でも包み込むような口づけを。

diはすぐに唇を離し、再び夢をギュッと抱きしめる。

「ごめんなさい。夢さん…。あまりにも愛おしくて……。」

「い、いいえ…。」夢は驚いたのと恥ずかしいのでなんだかわからなくなりdiの肩に顔を埋める…。

 

しばらく抱き合ったあと、diは、男物しかないのですが着替えを用意してきます、と言って夢の頭をなでてから、部屋を出ていく。体を拭いて着替えをする準備を整えてくれた。

 

「先生、あの。背中を拭いてくれませんか…?」

「はい。わかりました。」

 

夢は自分で依頼したが恥ずかしくて、ぎこちなく着物の上だけを外す…。

少し熱くしてある手拭いで優しく背中を拭いてもらう。

時々傷口にしみることもあったが、先ほどの口づけのせいか、diを意識してしまい心臓がどきどきしてしまう。

 

沈黙が続く…。

パチパチと火が燃え、二人の影が揺らぐ……

 

 

夢の背中はあちこちにあざがあり、擦り傷も多かった。

それを見たdiは守れなかった悔しさを噛みしめる。

 

どこの誰ともわからない下衆な男がつけた傷跡を恨めしそうに睨む…。

 

「夢さん。嫌だったら言ってください。」

「え?先生?」

聞いたことのない低い声に夢は少し驚く。

「背中につけられた全ての傷に口づけをしても良いでしょうか…?」

「え?……あ、あの、なぜ?それは、は、恥ずかしいです。」

「無理に、とは言いません。先程も言いましたが今夜私は夢さんの嫌なことはしませんから。ただ、嫌なのです。私以外の他の男がつけた傷を見ていると…気が狂いそうな程の怒りがこみ上げてきてしまって…。夢さんの傷一つでさえも私のものにしたい。」

「え?di先生?」

「どうでしょうか…?」

 

今日はずいぶん頭が混乱する……自分のものにしたいって……え?

今、なんて??

 

「ぜ、全部はちょっと…す、少しなら…」

「わかりました。」

 

 

「……ん、〜〜〜〜。あ、あの、先生…私くすぐったくて。へ、変な声が出そうです…。」

「そのままで……素直に声を出していいですよ…」

 

 

先程の口づけの感覚が蘇る……

 

背中に感じるdiの柔らかく、温かい唇の感覚……息づかい……

肩や腰に置かれた手のぬくもりも……全て経験したことのない感覚……。

まるで壊れそうな儚いものを扱うかのような……優しい感覚………。

 

 

しばらくすると、バサリと用意してくれた新しい着物を上から掛けられる。

 

「夢さん、急にすみませんでした。夢さんには指一本触れないつもりだったのに。先ほど抱きしめていたらなんだか………」

振り返ると、両方の眉をハの字にして下を向き頬をかいて照れているdiの姿があった。

さっきの低い声はなく、いつもの表情、いつもの声で安堵する。

いつの間にか、diは寝巻に着替えていた。

 

「いいえ!あ、あの、ありがとうございました。」

背中の口づけの感覚が蘇ってきて夢も恥ずかしくて下を向いてしまう。

「あの、眠るときもさっきの様に抱きしめてくれませんか。心地よくて怖かったことを思い出さずに眠れそうです。」

「わかりました。良いですよ。」

 

 

寝室へ移動し、一枚の布団に横になり、diは夢を優しく包み込んだ…。

 

 

暗闇の中、一枚の布団で横になり夢はdiに腕枕をされながら髪をなでられている。

 

diの腕の中でぬくもりに包まれて眠りにつこうとしていた頃、diが話し出す。

 

「夢さん。今度は私の話を聞いてくれませんか?」

「はい。」

心地よさに体を預けながら夢は返事をする。

 

「えっと、、私はずっと前から夢さんのことを好いていました。」

「え…?ずっと前から?」

「食堂に夢さんがきてまもなくくらいからです。一生懸命仕事を覚えようと頑張っている姿が印象に残って…。でも、あの頃の夢さんは全然笑っていなかったから、なんとか話題を見つけて話しかけようと思ったのですが、なかなか……。迷っているうちに何ヶ月も経ってしまって…。」

「それで、苦手なものを食べる協定を??ふふふっっ先生、おもしろいですね!」

「それしか思い浮かばなかったんですよ〜〜〜」

暗闇でもわかる、diが両眉をハの字にして照れて笑っているのが。

「ふふっ。私、先生のその笑った顔好きですよ。」

「私だって。夢さんの笑顔好きですよ」

「今思えば、協定から始まって良かったのかもしれません。きっと、いきなり、好いています!なんていわれたら、お断りしていたと思います。」

「協定、とか言って良かった〜〜」

「あ、そういえば、私があの城に捕まっているってなんでわかったんですか?」

「紫色の忍び装束の忍者がいる城ってこの近辺ではあまりないんです。それと、わずかに落ちていたチョークの粉を手掛かりにして探しました。捕まる前に私がチョークをたくさん投げたこと覚えていますか?」

「あの忍者たちに投げているのかと思っていました。」

「それもあったのですが、たくさん粉をつければ追跡にも役に立つので。夢さん真っ白になっていましたよ。」

「なんか、、面白がっていませんか?」

「そんなことはありません!でもどうでしょうねぇ・・・。冗談はさておき、小さな子供がいる城はたくさんありますし、紫色の忍び装束も変装かもしれない。夢さんを担ぎながらでも忍者は逃げることにはとにかく速いので、逃げられてしまい・・・。道行く人に聞き込みもしながら探したので遅くなってしまって。あんな思いをしたのに本当によく頑張りましたね。」

「すごく辛かったんですが、di先生に褒められて、こうして優しくされたのでなんだか忘れてきました。だから大丈夫です。それに、またこういうことがあったら、di先生が助けてくれる気がして、安心です。」

「もちろんです。助けますし、もう誰にも攫われないように守ります。」

「え、あ、ありがとうございます。・・・・あの、di先生。…………最近ずっと考えていたのですが……。私は、男の人を避けていたし、一緒に食事をしたり、町へ出かけるなんて考えたこともありませんでした。でもdi先生とは一緒にご飯を食べても町へお買い物に行っても、こうして抱きしめられても、前のことを思い出して怖くなったり、倒れたりしませんでした。それはなぜだろう……と。di先生だって男の人なのに……。でも、わかったんです。きっと私もいつの間にかdi先生のことを、その…好きになっていたんだな、と。」

「夢さん。もう辛いことを忘れられるように頑張りますから、私と恋仲になってくれませんか?」

「……はい。……でも、こんな大女で良いのですか?それに、私は美人でもないですよ…?」

「そんなことはありません!!夢さんはそのままで素敵です。」

「………そうでしょうか……」

「そうです!!!私はそう思います!!さっきお湯が沸くまで抱きしめてほしいって言われたとき、どれだけ嬉しかったか、わかりますか??それはもう本当に本当に嬉しかったんですから!!今だってこんなに近くに夢さんがいて!!・・伝わりますかぁ?」

「あ、あんなこと言ってしまってすみませんでした。」急に恥ずかしさが蘇ってうつむく夢。

「いやいや謝らないでください!!・・・・・では、明日もありますし、そろそろ寝ましょうか。」

「はい。」

そう言って夢はdiの背中に腕を回して眠った。

 

 

diは夢が眠ったのを確認して、夢からは見えない、でも着物からはギリギリ見えるか見えないかの首筋の辺りに強く口づけを落とした…。

その口づけは他の男たちがつけたどの傷よりも目立つように赤く赤く・・・・。

 

 

 

⑬終

 

翌朝。

支度をして、学園へ二人で出勤する。

それを見たご近所さんたちやら大家さんやらは「とうとうあのhnskにも春が………??」と勝手に盛り上がっている。

夢は恥ずかしくて、diに隠れつつ、そそくさ〜〜と出勤する。

 

 

 

学園につく。

kmtdさんの入.門書を記入。

diは学.園.長先生やymd先生へ挨拶と報告へ一足先に向かった。

 

 

夢は顔面も叩かれてしまったため、まだ痣や若干の腫れは残る…。

それがちょっと気にはなるが、真っ先に上司?になる食.堂.の.おばちゃんへ無事である知らせをしに食堂へ向かう。

「食.堂.の.おばちゃん。今大丈夫ですか?ご心配おかけしました。」

「夢ちゃん!!!無事でよかったわ~~。本当にあっという間に捕まっちゃって。心配していたのよ!!こんな若い娘の顔をやるなんて!!ひどい傷、痛いでしょ?冷やす?手拭いを持ってこようか?」

「ありがとうございます。こんな顔ですみません。傷が治るまで裏方に回ろうかな、と思います。」

案の定食.堂.のおばちゃんは大層心配してくれた。

 

さらに、夢が出勤した、という話を聞きつけてkrmrが謝りに来てくれた。

「俺が銭に目が眩んで妙な子守を受けちゃったから……夢さんが大変な目に……。本当にすみませんでした。ごめんなさい…。あ、でも、そのおかげでdi先生とは仲良くなれましたかね???えへへへ」

平謝りかと思えば、いつもどおりのお調子者っぷりに夢は笑ってしまった。

 

 

その後、diと合流し、夢も学.園.長先生や城を制圧してくれたymd先生、tb先生、倒れた時に看病してくれたsn先生へ挨拶と報告に行く。

 

夢の無事に安堵し、顔の様子を見てみんな心配していたが、

プロの忍者の先生たちは揃って夢の首筋の赤い華に気がついていた……

 

 

 

一通り挨拶が終わり、夢は食堂へ、diは授業の準備へ向かう。

その前に、夢とdiは両手をつないで向き合って別れを惜しむ。

「夢さん、ではまたお昼に会いましょう。……。待ち遠しいな〜〜。」

両眉をハの字にして笑うdi…。しかし、すぐに真面目な表情に戻り

「krmrには怪しいバイトに手を出さないようにきつく言っておきますからね!!」と念を押してくれた。その表情はなんだか頼もしくて、でもkrmrが涙を滝のように流して謝る姿も目に浮かんで笑ってしまった。

「ふふふふ。ありがとうございます。では食堂で待っていますね。あ、今日は、かまぼこがあるかも……。」

「じゃ、夢さんに食べてもらわないといけませんね!」

「はい!任せてください!」

 

では、と手を離して分かれる。

 

 

 

diはしばらく夢の遠ざかる背中を見ていた。

風が吹いて夢の髪を揺らす……

自分がつけた首筋の赤い華が見えるような見えないような………

 

 

「こんにちは。di先生」

ひらりと現れたのはymd先生の息子のrktだった。

「やあrktくん。ymd先生なら今、部屋で授業の準備をされているよ、私も向かうから一緒に行こうか。」

「ええ。そうします。…食堂の夢さん、元気になられたようですね。良かった。ところでdi先生、夢さんとはずいぶん仲良くなったんですね。恋仲ですか?」

「さすがだね。」

「独占欲が随分とお強いようで。」

「……。我ながらこんなにとは思わなかったよ。」

 

 

もう二度と誰にも攫われないように……

彼女が怖い思いをしなくて済むように……

彼女の髪一本でも他の男に触れてほしくない。

彼女を自分だけのものに・・・・

 

 

 

「誰の目からも守ってあげたくなってしまってね……彼女の心も体も……全て……ね…」

 

 

 

稀に見るジト目でdiは夢が歩いていった方向を振り返った………。

 

 

終わり。

長くなってしまいましたが読んでくださってありがとうございました。終始優しいdi先生を書きたくて始めたのにあれ?di先生最後なんか不穏に……。

 

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